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マントル―マグマ


マグマとは

マグマの定義・意味など

マグマとは、マントル上部にあるかんらん岩質岩石が何らかの理由で溶けて液体状態になったものをいう。

参考:左巻健男ほか4名 『系統的に学ぶ中学地学』 株式会社 文理、2020年、37項。

岩石が溶ける理由

マントルを構成する岩石が溶けてマグマが生成される理由は次の3つである。

  1. 温度上昇
  2. 減圧融解
  3. 加水融解

1.温度上昇
ホットスポット

温度が上昇することで岩石が溶ける。

たとえば、ホットスポットの地下においては、マントル内で核の近くから局部的に高温のマントルがゆっくりと上昇してくる。

このマントル内部に生じる巨大対流(プルーム)がマントル上部のかんらん岩を溶かしてマグマをつくり、さらにプレートを突き破って噴出したものが、ハワイやガラパゴスなどのホットスポット火山を形成すると考えられている。

左巻健男ほか4名 『系統的に学ぶ中学地学』 株式会社 文理、2020年、38項。

2.減圧融解
中央海嶺

温度は変わらなくても圧力が下がると岩石は溶けやすくなる。

たとえば、中央海嶺では、広がっていくプレートの隙間を埋めるように、地下深くからかんらん岩質岩石が固体のままゆっくりと上昇してくる。そうすると温度を保ったまま圧力が下がるため、かんらん岩は溶け始めてマグマが生成し、海底火山として噴出する。

左巻健男ほか4名 『系統的に学ぶ中学地学』 株式会社 文理、2020年、37項。

3.加水融解
プレートの沈み込み帯

わずかでも水が含まれていると岩石が溶け始める温度は劇的に下がる。

たとえば、日本のようなプレートの沈み込み帯では、海洋プレートと一緒に地下深部に引きずり込まれた鉱物から高い圧力によって水が放出され、その上に接するマントル(かんらん岩)が部分的に溶け始めてマグマが生成すると考えられている。

左巻健男ほか4名 『系統的に学ぶ中学地学』 株式会社 文理、2020年、37-38項。

マグマと関係する概念

マグマから派生する概念
火山ガス・溶岩

マグマが地上に出れば火山ガス溶岩などになる。

参考:岩波書店 『広辞苑 第六版』

なお、ガス成分の抜けたマグマが地表に流出したものが溶岩である。

左巻健男ほか4名 『系統的に学ぶ中学地学』 株式会社 文理、2020年、39項。

火成岩

マグマが冷却・団結したものが火成岩である。

参考:岩波書店 『広辞苑 第六版』。三省堂 『スーパー大辞林』

マグマの分類・種類

マグマはマグマが固まったときにどの岩石(火山岩)になるかで、大きく次の5つの種類に分類される。なお、火山岩系では1→4にしたがって、ケイ酸(SiO2)成分が多くなる。

  1. 火山岩系
    1. 玄武岩質マグマ
    2. 安山岩質マグマ
    3. デイサイト質マグマ
    4. 流紋岩質マグマ
  2. 深成岩系
    1. 花崗岩質マグマ

藤岡 換太郎 『三つの石で地球がわかる』 講談社、2017年、81,102項。

本源マグマ

アメリカの岩石学者ボーエンは、上記のマグマはすべて大本となる一つのマグマを起源としていて、これを本源マグマと呼び、玄武岩質マグマが本源マグマであるとした。

それが結晶分化作用により鉱物の結晶が晶出していくことでマグマの成分(ケイ酸成分)が変わり、玄武岩質マグマ→安山岩質マグマ→デイサイト質マグマ→流紋岩質マグマという順に変化していく、とした。

藤岡 換太郎 『三つの石で地球がわかる』 講談社、2017年、81項。

そして、ボーエンは、さらに最終的には花崗岩質マグマになることを溶解実験によって明確に示した。

つまり、深成岩である花崗岩も火山岩である玄武岩と同じく火成岩(「火」に由来する岩石)であり、系譜としては同じかんらん岩を親に持つということになる。

藤岡 換太郎 『三つの石で地球がわかる』 講談社、2017年、102項。



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