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トーンカーブ


トーンカーブとは

トーンカーブの定義・意味など

トーンカーブとは、横軸は元の画像の明るさ、縦軸は調整後の画像の明るさを表したグラフをいう。初期状態では元の画像の明るさと調整後の画像の明るさは同じため、右上に45度の直線を描いている。

なお、トーンカーブにはすべてのチャンネル(RGBとY(輝度))のヒストグラムも表示される。

画像を調整する | 使いかた | Imaging Edge Desktop | ソニー https://support.d-imaging.sony.co.jp/app/imagingedge/ja/instruction/3_3_retouching.php

トーンカーブの機能

明るさ・コントラストと色の補正

トーンカーブはデジタル写真を現像(色調整)するもっとも基本的で汎用性が高い機能で、初期状態で右上に45度の直線を上下に移動することで、明るさやコントラストと色を自在に補正できる。

『写真が変わる劇的RAW現像』 CAPA&デジキャパ!編集部、2016年、52項。

特定の明るさ(色)を変更するとそれに伴ってグラフが歪曲してその周辺の明るさ(色)も連続的に変わるので、当然にコントラスト(明暗差)も変わってくる。逆に言えば、グラフを持ち上げる(下げる)と全体が歪曲して変化するので特定の明るさ(色)をピンポイントで明るく(暗く)することはできない。

なお、当然のことではあるが、カーブの角度が元の45度よりも急になればなるほどコントラストは強く、逆に緩やかになればなるほど弱くなる特性がある。

トーンカーブの仕組み(しくみ)

トーンカーブは難解なツールに思えるが、その仕組みは単純で元の画像の明るさをどの程度の明るさにするかを指定するだけである。

『写真が変わる劇的RAW現像』 CAPA&デジキャパ!編集部、2016年、52項。

トーンカーブの使い方

①明るさの補正

トーンカーブは右上に45度の直線を上に移動すると明るく、下に移動すると暗くなるという明暗の補正が基本である。

なお、エリア内をクリックすると、その点に制御点が打たれ、トーンカーブがそこを通過するように変化する。

一度設定した制御点はドラッグ&ドロップで移動することができる。

ただし、横方向については隣の点を越えて移動することはできない。

さらに制御点はダブルクリックするかグラフの外へドラッグ&ドロップして削除することもできる。

画像を調整する | 使いかた | Imaging Edge Desktop | ソニー https://support.d-imaging.sony.co.jp/app/imagingedge/ja/instruction/3_3_retouching.php

明るさの補正のパターン

写真全体を明るく・暗くする

写真全体を明るく補正したいときは、中央の線上をクリックして制御点を作り、上にドラッグして膨らんだカーブを作る。反対に、暗く補正したいときは、下にドラッグしてカーブを作る。

カーブを大きくすればするほど、より明るく・暗くなる。

明るい部分だけを白とびしないようにより明るくする

明るい部分だけを白とびしないようにより明るくするには、ヒストグラムの右の山裾が右端まで広がるように、最初からある一番右端の点を左に移動すると白とびギリギリまで明るくなる。

『ソニー イメージングエッジ完全マスター』 学研プラス、2019年、105項。

コントラストの補正

コントラストの補正は2以上の制御点を上下させて行う。

基本的には、グラフの右上(明るい部分。横軸の右から1/4くらいの位置)と左下(暗い部分。横軸の左から1/4くらいの位置)に制御点を作り、右上の制御点で明るい部分の明暗を、左下の制御点で暗い部分の明暗を調整してコントラストを整えていく。

『写真が変わる劇的RAW現像』 CAPA&デジキャパ!編集部、2016年、53項。

コントラスの補正のパターン

コントラストを強くする

グラフの右上(明るい部分。横軸の右から1/4くらいの位置)と左下(暗い部分。横軸の左から1/4くらいの位置)の2つの制御点を作り、右上の制御点を上に、左下の制御点を下に移動してS字カーブを作るとコントラストが強くなる。

元の画像の明るい部分がより明るく、暗い部分がより暗く補正されるからである。

コントラストを弱くする

グラフの右上(明るい部分。横軸の右から1/4くらいの位置)と左下(暗い部分。横軸の左から1/4くらいの位置)の2つの制御点を作り、右上の制御点を下に、左下の制御点を上に移動して逆S字カーブを作るとコントラストが弱くなる。

シャドウを黒浮きさせてコントラストを弱くする

最初からある一番左端の点を上に移動すると、シャドウが黒浮きして全体のコントラストが弱くなり、柔らかなトーンに仕上がる。

『ソニー イメージングエッジ完全マスター』 学研プラス、2019年、125項。

明るい部分の透明感を出す

グラフの右上(明るい部分。横軸の右から1/4くらいの位置)、中央、左下(暗い部分。横軸の左から1/4くらいの位置)の3つの制御点を作り、右上の制御点だけを上に移動すると、「軽やか」で「透明感」のある「抜けのよい」階調になる。

『写真が変わる劇的RAW現像』 CAPA&デジキャパ!編集部、2016年、54項。

明るい部分の階調感を出す

グラフの右上(明るい部分。横軸の右から1/4くらいの位置)、中央、左下(暗い部分。横軸の左から1/4くらいの位置)の3つの制御点を作り、右上の制御点だけを下に移動すると、階調感が高まる。

『写真が変わる劇的RAW現像』 CAPA&デジキャパ!編集部、2016年、54項。

暗い部分を引き締める

グラフの右上(明るい部分。横軸の右から1/4くらいの位置)、中央、左下(暗い部分。横軸の左から1/4くらいの位置)の3つの制御点を作り、左下の制御点だけを下に移動すると、暗い部分の色がより濃くなって締まりが出る

『写真が変わる劇的RAW現像』 CAPA&デジキャパ!編集部、2016年、54項。

暗い部分の階調感を出す

グラフの右上(明るい部分。横軸の右から1/4くらいの位置)、中央、左下(暗い部分。横軸の左から1/4くらいの位置)の3つの制御点を作り、左下の制御点だけを上に移動すると、階調感が高まる。

『写真が変わる劇的RAW現像』 CAPA&デジキャパ!編集部、2016年、54項。


白とびの軽減

グラフの中央、右上(明るい部分。横軸の右から1/4くらいの位置)の2つの制御点を作り、最初からある一番右端の点を下に移動すると、擬似的に白とびを軽減できる。

『写真が変わる劇的RAW現像』 CAPA&デジキャパ!編集部、2016年、54項。

黒つぶれの軽減

グラフの中央、中央から1/6くらい左下、さらに1/6くらい左下の3つの制御点を作り、一番左の制御点だけを上に移動すると、黒つぶれを軽減できる。

『写真が変わる劇的RAW現像』 CAPA&デジキャパ!編集部、2016年、54項。

③色の補正
色の補正のパターン

色を淡くする

グラフの右上(明るい部分。横軸の右から1/4くらいの位置)、左下(暗い部分。横軸の左から1/4くらいの位置)の2つの制御点を作り、それぞれの制御点を上に移動すると色が淡くなる。

その際、左下の制御点を多めに移動すると効果的である。

『写真が変わる劇的RAW現像』 CAPA&デジキャパ!編集部、2016年、54項。

色を濃くする

グラフの右上(明るい部分。横軸の右から1/4くらいの位置)、左下(暗い部分。横軸の左から1/4くらいの位置)の2つの制御点を作り、それぞれの制御点を下に移動すると色が濃くなる。

その際、右上の制御点を少し多めに移動すると効果的である。

『写真が変わる劇的RAW現像』 CAPA&デジキャパ!編集部、2016年、54項。

特定の色を補正する

トーンカーブでは、Y(輝度)のほか、R(赤)/G(緑)/B(青)ドロップダウンリストで調整したいチャンネルを選択することでそれぞれの色(とその補色であるシアン・マゼンタ・イエロー)を強めたり弱めたりできる。

例えば、R(赤)のチャンネルを選択して上に膨らんだカーブを作ると赤が強くなり(赤の補色のシアンが弱くなる)、下に膨らんだカーブを作ると赤が弱くなる(赤の補色のシアンが強くなる)。

トーンカーブを使った色調整はかなり自由度が高く、この機能を中心に写真を仕上げるプロも少なくない。

参考:『ソニー イメージングエッジ完全マスター』 学研プラス、2019年、87項。

参考:桐生彩希 『デジタル写真の色を極める! 写真の学校』 雷鳥社、2013年、148項。

ただし、トーンカーブを使った色調整では、ホワイトバランス機能(色温度色偏差)のように光の特性に従った変化はしないため、扱いには慣れが必要である。

『写真が変わる劇的RAW現像』 CAPA&デジキャパ!編集部、2016年、56項。

ホワイトバランス機能は光の特性に従って色相を調整する写真的なアプローチで、直感(アナログ)的に補正できるのに対して、トーンバランスによる色調整はデザイン的なアプローチで、論理(デジタル)的に補正するものである。

つまり、トーンカーブを使った色調整はホワイトバランスのように写真的な変化は伴わないが、「レッドを減らすとシアンが増える」というように論理的に色相の変化を把握できる機能であると言える。

桐生彩希 『デジタル写真の色を極める! 写真の学校』 雷鳥社、2013年、212-213項。

上手な使い方としては、ホワイトバランス機能で補正しきれない場面でトーンカーブによる色調整を使うようにすると色のバランスが崩れにくくなる。

『写真が変わる劇的RAW現像』 CAPA&デジキャパ!編集部、2016年、56項。

トーンカーブの特色・特徴

[トーンカーブ]ではカーブの中間を上下に移動させても黒と白の明暗は変化しない。

そのため、[コントラスト]機能で補正すると黒つぶれや白とびが生じやすいが、[トーンカーブ]は階調が潰れにくく、コントラストが保たれるというメリットがある。

また、特定の明るさの範囲に対して補正を施せるため、緻密なコントラストの補正にも使える。

『写真が変わる劇的RAW現像』 CAPA&デジキャパ!編集部、2016年、53項。

トーンカーブと関係する概念

コントラスト

コントラスト]も[トーンカーブ]と同様に明るさとコントラスト(明暗差)を調整する機能である。

ただし、[コントラスト]の各設定項目が名称も効果も写真的なアプローチであるのに対して、[トーンカーブ]は明るさの変化をグラフで指定する仕組みでよりデジタル的な機能である。

したがって、[トーンカーブ]は[コントラスト]では対応できない微妙なコントラストを調整できる。

参考:『写真が変わる劇的RAW現像』 CAPA&デジキャパ!編集部、2016年、41項。

しかし、[トーンカーブ]は明暗のつながり(グラデーション)=階調(トーン)そのものを引き延ばしたり縮めたりすることで明るさとコントラストを調整するため、トーンジャンプが生じたり、階調が荒れてブロック状のノイズが発生したりする怖れがあり、「かなり危険な機能」でもある。

参考:桐生彩希 『デジタル写真の色を極める! 写真の学校』 雷鳥社、2013年、140-141項。



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