露出―決定要因―③ISO感度
ISO感度とは
ISO感度の定義・意味など
ISO感度(イソかんど)とは、国際標準化機構(略称ISO イソ)制定の規格に基づく写真感光材料(フィルム)の感度をいう。
なお、ISO感度は写真フィルムの感度の規格であるが、写真感光材料(フィルム)をCCDなどの撮像素子に置き換えてデジタルカメラの感度の規格としても使用されている。
ISO感度の表記
ISO感度の表記には、次の2つの種類がある。
- 算術表記…従来のASA感度(アメリカの規格による感度)
- 対数表記…従来のDIN感度(ドイツの規格による感度)
算術表記では数値が倍になれば感度も倍に比例する。
小学館 『日本大百科全書』
ISO感度の目的・役割・意義・機能・作用など
①明るさ
露出の決定要因
ISO感度は、絞り、シャッタースピードとともに写真の明るさである露出の決定要因のひとつである。
露出は基本的には絞りとシャッタースピードで決定されるが、ISO感度は取り込まれた光を増幅することで露出を変化させる機能である。
参考:伴貞良 『今すぐ使えるかんたんmini SONY RX100 基本&応用 撮影ガイド[RX100IV/RX100III/RX100II/RX100完全対応]』 技術評論社、2016年、78項。
言い換えると、ISO感度はカメラの受光部(フィルムなどの感光材料やCCDやCMOSなどの撮像素子)がどの程度の弱い光まで記録できるかを数値化したものといえる。
ISO感度を上げるということは信号を増幅して弱い光まで記録できるということで、ISO感度を上げることにより明るく撮影することができる。
手ぶれの防止(暗い場所での撮影)
そして、ISO感度を上げて明るく撮影できる結果として、シャッタースピードを速くできるので、手ぶれを防止することができる。
ISO感度を2倍にすれば、シャッタースピードも2倍になる。
したがって、ISO感度を上げれば、室内などの暗い場所でも手ぶれの少ない明るい撮影ができる(→室内撮影)。
②画質
ノイズ
ISO感度を上げると、光が増幅されるとともにノイズも増幅されて(→ゲインノイズ)、SN比が悪化する。
つまり、ISO感度を上げると露出を明るくできるが、もともと同じ量しかない光を増幅して多く見せているだけなので画質が劣化する。
伴貞良 『今すぐ使えるかんたんmini SONY RX100 基本&応用 撮影ガイド[RX100IV/RX100III/RX100II/RX100完全対応]』 技術評論社、2016年、78項。
したがって、ISO感度は手ぶれの少ない明るい撮影を可能にするものではあるが、反面、ノイズを発生させて画質を劣化させるものであることも意識し、十分な光量がある場合には、できる限りISO感度を低く設定するようにする。
ISO感度の決定方法・決め方
明るさと画質とのバランス
ISO感度は、明るさ(そして、十分な明るさが得られるためのシャッタースピード)と画質とのバランスを取りながら決定する。
具体的には、明るさ(シャッタースピード)を優先したいときは高感度、画質を優先したいときは低感度に設定する。
ISO感度の基準・目安
基準
ISO感度は算術表記では100を基準として、200、400、800、1600、…と倍ずつ変わっていく。
目安
コンパクトデジタルカメラ
コンパクトデジタルカメラのISO感度の設定の目安については、たとえば、次のようなものがある。
経験則ではあるがISOが200程度ならばノイズとも共存できることが多い。絞りが同じであれば、標準的なISO100に比べてシャッター速度を2倍早くにできるというわけだ。それでも手ぶれをなくす(少なくする)ことができないのであれば、思い切ってISOを400や800まで上げてみるのも、ひとつの手ではある。
手ぶれが出ることと、ゲインノイズの度合いをうまく天秤にかけることが、最近のコンパクトスタイルのデジタルカメラを使いこなすコツである。
デジタルカメラにおけるISOとは? 高いとどうなる? [デジタルカメラ] All About http://allabout.co.jp/gm/gc/19762/
また、同じコンパクトデジタルカメラでも、1.0型といった最高級機種に採用されている規格では、次のような目安もある。
ISO100~400 | 屋外で撮る場合は、日が沈まない限り、晴れていても曇っていてもISO100~400に設定しておけば問題ない。 |
ISO400~1600 | 室内で撮る場合は、最初からISO感度を上げておいたほうがよい。 |
ISO1600~25000 | ISO1600を越える高感度域は、暗い室内である程度シャッタースピードを早くしなければならない場合など緊急避難的に用いる。 |
参考:伴貞良 『今すぐ使えるかんたんmini SONY RX100 基本&応用 撮影ガイド[RX100IV/RX100III/RX100II/RX100完全対応]』 技術評論社、2016年、78項。
デジタル一眼レフカメラ
デジタル一眼レフカメラでは、ISO800やISO1600まで高くしても許容範囲の画質で撮ることが可能である。
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